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明尾 潔*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 明尾 庸子*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 80, 2015/03
イオンビームがヒト培養網膜色素上皮細胞に及ぼす影響を明らかにするために、異なる核種のイオンビームで照射した細胞におけるSuperoxide Dismutase (SOD)活性の測定を実施した。ヒト培養網膜血管内皮細胞にヘリウムイオンビーム、および炭素イオンビームを照射し、照射後0, 4, 8, 24時間後に細胞を採取した。この細胞試料にSODアッセイバッファを加えて凍結解凍を繰り返すことで溶解した細胞抽出液のSOD活性を、ルミノールアッセイ法を用いて定量した。その結果、ヘリウムイオンビームを照射した細胞試料では、照射後の時間経過に伴いSOD活性の低下が進むことが認められたが、炭素イオンビームを照射した細胞では、照射24時間後にSOD活性が上昇することが明らかになった。この結果は、ヘリウムイオンと炭素イオンでは、照射後のSOD活性に及ぼす影響が異なることを示唆する。
水橋 清; 宇野 定則; 大越 清紀; 千葉 敦也; 齋藤 勇一; 石井 保行; 酒井 卓郎; 田島 訓
第17回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.5 - 8, 2004/00
平成15年度のTIARA施設3台の静電加速器の運転時間はタンデム加速器,シングルエンド加速器,イオン注入装置について、1988時間,2290時間,1773時間であった。これら3台の加速器の運転時間の差はイオン源の複雑さや発生するイオン種数に依存している。また、3MVタンデム加速器の現状について報告する。
Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.591 - 595, 2003/05
われわれは原研高崎研究所に設置された重イオン照射装置を用いて、カイコのような小動物へのラジオサージャリー技術を確立した。今回、ヘリウムイオン(He, 12.5MeV/u, 水中飛程約1.5mm),炭素イオン(C, 18.3MeV/u, 水中飛程約1.1mm)及びネオンイオン(Ne, 17.5MeV/u, 水中飛程約0.6mm)など飛程の異なる3種の重イオンを家蚕(着色非休眠系統pnd pS)の幼虫に全体照射あるいは局部照射し、その生物影響の違いを調べるとともに、イオンの照射深度による生物影響も調査した。全体照射では、3種のイオン間に照射効果が明らかに異なり、飛程の長いものほど影響が大きいこと、局部照射では、存在部位の異なる標的組織・器官によってその影響が異なることが明らかになった。炭素イオンを用いてマイラーフィルム(厚さ100m)で覆うことにより照射深度を制御した場合は、真皮細胞がイオンの飛程末端までのどの部分で照射されるかによって、その鱗毛形成に障害を起こす程度が大きく変化することがわかった。イオンの照射深度を制御することにより、精確に標的組織・器官のみの機能破壊が可能である。
松田 誠; 竹内 末広; 吉田 忠; 花島 進; 藤井 義雄*
第14回加速器科学研究発表会報告集, p.170 - 172, 2003/00
原研タンデム加速器では得られるビームのエネルギー,強度,イオン種の拡大を目的に高電圧端子内にECRイオン源を設置している。計画の第1段階で、基本的な技術の取得及び機器の開発のため、加速器本体に大きく手を加えることなく搭載することが可能な小型のイオン源を設置した。現在、高電圧端子内ECRイオン源により、ヘリウムを除く希ガス及び水素,窒素,酸素の加速が行われている。今回は計画の第2段階として14.5GHz, 200Wの永久磁石型ECRイオン源を設置する予定である。これによりさらに高多荷イオンの生成が可能となりビームエネルギー・強度ともに現状以上に増強することができる。これまでに試験台にてビーム生成試験及び動作特性の測定を行った。また特殊な環境下である端子内に設置される機器に対する新たな制御方式の開発を行っている。
松田 誠; 藤井 義雄*; 田山 豪一; 石崎 暢洋; 阿部 信市; 花島 進; 月橋 芳廣; 堀江 活三; 大内 勲; 神田 将; et al.
JNC TN7200 2001-001, p.166 - 168, 2002/01
原研タンデムから得られるイオンビームの電流・エネルギーの増強及び加速イオン種の拡大のため、1998年にECRイオン源をタンデム加速器の高電圧端子に搭載した。その後、定期整備のたびに改良を加え、現在は安定動作を実現している。主な改良点はターボ分子ポンプを排気系に追加したことと、搭載ガスを8ボンベまで可能にしたことである。これまでに水素,窒素,酸素及び希ガスの加速を行い、ビーム電流は約1桁、エネルギーはXeで300MeVに達している。イオン源の動作もきわめて安定しており、最長4日間の連続運転にわたってイオン源を再調整する必要はなかった。本件では現在の運転状況と装置の現状について報告する。
荒川 和夫
放射線化学, (65), p.44 - 46, 1998/00
AVFサイクロトロンにおいて、イオン種・エネルギーを短時間で変更する技術として、新たに開発したカクテルビーム加速技術の原理・方法について紹介した。その加速技術は、ECRイオン源に複数のガスを導入し、生成したM/Qがほぼ同じで、分析電磁石で分解・弁別できないイオン種をすべてサイクロトロンへ入射し、同時に加速する。サイクロトロンから単一イオン種を引き出すための方法として、加速周波数を変える方法と、トリムコイルによる磁場を変える方法がある。この両方法とも、サイクロトロンでイオン種・エネルギーを変更する際に周波数か磁場のどちらかをわずかに変更するだけで可能であるため、極めて短時間でイオン種を変更できる。
荒川 和夫
放射線と産業, (75), p.37 - 38, 1997/00
AVFサイクロトロンにおいて、イオン種・エネルギーを短時間で変更する技術として、カクテルビーム加速技術を開発した。イオン源に複数のガスを導入し、生成したイオンのうちM/Qがほぼ等しく、分析電磁石で分離・弁別できないイオン種をすべてサイクロトロンへ入射し、同時に加速する。サイクロトロンの加速周波数等の1~2のパラメータを特定のイオン種のみを引き出す。この方法は、周波数等のみを変更するので、30~2分程度と極めて短時間にイオン種を変更できる。これまで、分析電磁石で分離できないイオン種は、加速の対象から外され、敬遠されてきた。この分離できないイオン種をサイクロトロンにおける「粒子・エネルギーの短時間切り替え技術」の切り札として役立てた。この技術についてワンポイントの解説を行った。
福田 光宏; 荒川 和夫; 奥村 進; 中村 義輝; 奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 横田 渉; 田村 宏行
Proc. of 11th Symp. on Accelerator Sci. and Technol., p.139 - 141, 1997/00
原研AVFサイクロトロンにおいて、イオン種・エネルギーを短時間で変更する技術として、カクテルビーム加速技術を開発した。イオン源に複数のガスを導入し、生成したイオンのうちM/Qがほぼ等しく、分析電磁石で分離・弁別できないイオン種をすべてサイクロトロンへ入射し、同時に加速する。サイクロトロンの加速周波数等の1~2のパラメータを特定のイオン種に合わせることにより、目的とする単一イオンだけを引き出す。この方法は、周波数のみを変更し、他のパラメータは、まったく変更する必要がないので、30秒~2分程度の極めて短時間でイオン種を変更できる。M/Q≒4と5のシリーズについての実験結果とサイクロトロンによるイオン種分離の方法について報告する。また、この加速技術の応用について述べる。
南波 秀樹
質量分析, 43(5), p.313 - 322, 1995/00
電子線を用いた排煙処理法に関して、石炭燃焼排煙を例にとり解説すると共に、その基礎的な反応機構、特にその反応の初期におけるイオン-分子反応の役割について詳述する。このイオン-分子反応におけるクラスターイオンの重要性を述べると共に、この過程で生成すると予想されるラジカル種について論じる。主要正イオン種であるHO(HO)、生成可能な正イオン種NH(HO)と主要負イオン種であるO(HO)、生成可能な負イオン種CO、SO(HO)との中和反応からはHOラジカルが生成する。しかしながら、生成可能な負イオン種であるSO(HO)の中和反応からは、OHラジカルが生成すると共に、硫酸ならびにそのアンモニウム塩が直接生成する可能性がある。
大貫 敏彦; D.E.Robertson*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol. 176, p.615 - 622, 1990/00
陰イオン性化学種として存在する放射性コバルトの地中移動を、液体廃棄物処分場から漏出した核種データを用いて検討した。陰イオン性化学種と他の化学種との間の相関係数が大きくなかったことから、化学種間の相互変換はなかったと判断できた。地下水中の濃度の時系列の相互相関を求めることから、陰イオン性化学種として存在するCoの移動速度を求め、遅延係数を算出した結果、19という値が得られ、陽イオンイオン種を対象とした従来の実験室内で得られた値よりも1200倍小さかった。また、地中の濃度分布から、陰イオン性化学種として存在するCoの移動は、2つの移動部分に分けられることが明らかとなった。
上野 馨; 星 三千男
化学と工業, 36(9), p.160 - 162, 1983/00
Baden-Baden会議以降の研究報告の中から、新たに発見されたイオン種(Am(VII),Cm(VI),Cf(IV))と錯化剤の開発により以前より安定化されたイオン種(Am(IV),Cm(IV))を中心としたアクチノイドの化学を示した。併せて原子番号が100以上の元素の化学的研究で問題になるいわゆる「数原子の化学」についても述べた。